各部屋へと行くのかと思ったら、皆がひとつの部屋に集まった。

はぁ?狭いじゃん。子供っぽいことしないでよね。要、溝川。

「お母さん、私も」

「俺だって」

「じゃあ、僕も♪」

明らかに、一人違うよね?変な意味を持ってるよね?

全く、この馬鹿共が。

「はいはい。ほら、もう寝よ…」

眠いんだよ、こっちは。いい加減、寝たいんだ。

仕方なく、ひとつのベッドに皆が寝た。良かった…大きくて。

皆が寝静まる頃、自分は天井を見つめていた。
このまま、どうなるんだろう…
離婚する予定で、荷物も持ってきたから家探さないと。

あ、なるべく美依の学校に近い所にしなきゃ。
仕事場にも近いほうがいいよね。

「ふぅ…」

ため息をついて、溝川を見るとニコッと笑いながら自分の手を握ってきた。

ちょっ…手!離せったら!
手をぶんぶんと左右に振り回した。

「皆、起きちゃうよ?」

だったら、手離してよ。そしたら騒がないから。

「悩んでるね?」

「ええ。まぁ」

悩むでしょ?普通は。あの人のことも、家捜しも仕事場のことでも。
とても面倒なことばかり。

「離婚したくない?」
したほうがいいって自分は思うよ。あの人は持田先生を選んだんだ。
自分より、持田先生をね。
それに、このまま…ズルズルと引きずって生きてくのが嫌なんだ。
離婚したほうが、すっきりすると思う。