溝川の家に着くと、この人も…金持ちって感じがした。

大きなマンションだった。しかも綺麗。
「ここ僕ん家だから、どこに行ってもいいよ」

とりあえず最上階に行った。
要と美依は、無理にテンションを上げていた。
いいのに、無理しなくて。

「じゃ、まず皆。風呂に入ってきなよ」

「ありがとうございます」

要と美依は走ってお風呂場に。
子供だな…
けど、ありがとう。自分について来てくれて。
でもね、いつでもあっちに戻っていいから。

「宮沢さん、南って呼んでいい?」

「…別にいいですよ」
改まって言われるのって初めてかな。この人にだけど。
あー…けど…今日は疲れた。

「お風呂入ってきなよ」

「…はい」

素直にお風呂に向かった。
感謝してもしきれないね。
下心があったとしても、ここまでしてくれるんだ、感謝、感謝。

シャワーを浴びながら、鏡を見た。どこも変わらないのに…何故か違う気がした。

涙がこぼれた。シャワーの音に掻き消されながら…大声で泣いた。

まだ涙が出る。どのくらいあるんだろう。
声が枯れるまで泣いた。