「そろそろ帰ろうか」
「…お母さん」

美依が自分を見上げて聞いてきた。
大丈夫だよ。今日は、着替え取ってきて溝川の家にだから…
「大丈夫、行こう」

美依は、ぴったりと自分にくっついていた。
ごめんね。余計な心配かけて。
もっとしっかりしなきゃ。

家にだんだんと近づいてくると、胸が締め付けられるみたいだ。
行きたくない…けど…

深呼吸をした。何回も何回も。
家に着くと、玄関の扉に手をかけた。

一気に開けた。

―ガチャ―

…?リビングは、真っ暗みたい。
皆で中に入って、リビングの扉を開けた。

信じられない光景が…

「…何してるの?」

平次と持田先生が…裸になってソファーにいた。

こんな…こんなことって…

悔しかった。怒り狂いそうな自分がいた。手が震える。

「…南?」

「大嫌い。本当に大嫌いだよっ!」

クッションを投げ付けた。
クッションは、平次の顔に当たった。

何なの?!信じてない上に、浮気?

馬鹿じゃないの?
全部、許されるとでも思ってた?

「離婚だよ…もう」

涙が、どっと溢れた。手で見えないように隠した。
大嫌い、大嫌い。
溝川よりも大嫌い。
「離…婚?」

「そうだよ、離婚。もう疲れた」

平次の頬を、おもいっきり叩いた。

―パンッ―