「ただいまー」

部屋に戻ると、皆は顔を真っ赤にして荒い息をしていた。


「誰が優勝者?」

「…いない」


詳しく話を聞くと、自分達が出かけている間、ずっと入っていたらしい。そこに旅館の人が来てやめさせたらしい。


「じゃあ、引き分けだからあげらんないね」

お父さんはニヤリと笑って、白い封筒をバッグにしまった。

良かった、こんな人達に渡ってしまったらと思うと、寒気がする。

「どこ行ってたんだよ?」

要がふらふらしながら近づいてきた。

「散歩。ほら、寝てなよ」

「…ひざ枕してくれたら…」

「バカなこと…」

「…頼む」

はぁ、仕方ない。
今日だけだから。