「…あっち向いて」

皆を反対側に向かせて、着替えた。バスタオルを二枚巻いて先に温泉に向かった。

「ん~…一人のほうがゆっくりできるかも」

入ってみると、ホント…温かくて気持ちいい。
昨日は普通のお風呂だったし。

「南~」

「…来たか」

ため息しながら、皆を見た。

すごい笑顔で自分を見た。
やめてよ、ホント。

お父さんは近づいてきて、自分の隣に来た。

「何?」

「初めて一緒に入るねぇ」

「当たり前でしょ」

右肩に頭を乗せてきた。ちょっと濡れた髪の毛が自分の肩にぺたっとくっついた。

そっと左手で頭を撫でてみた。
さらさらしてるし、まつげ長いなぁ。