「…水着、着てほしいんだよ!」

俯いて立ち止まった要。

「要…」

「っっ…」

「その手には乗らないからな」

「え…!」

「見え見えの嘘泣きに騙されるほど甘くはないからな」

先へと進むと、要が叫ぶ。
うるさいなぁ、とりあえず…お父さんの腕と溝川の腕をつかんで一緒に歩いて旅館に向かう。

「自ら、来てくれるなんて嬉しいもんだね」

「…まぁ、成り行きというか…」

溝川は腕に絡み付いてきた。
ちょっ、離せー!

腕をぶんぶんと振っても、離してはくれない。

つかまなきゃよかった、ホント。