「さ、終わったら荷造り」

「ああー…」


部屋に戻って自分は大きなバッグを探した。

「あれ…どこやったっけ?」

すると後ろから誰かに抱きしめられた。

「誰?」


「僕」

平次か。何なの一体?
強く抱きしめられていて身動きが出来ない。

「どうしたの?」


「抱きしめたかった。溝川さんと楽しげに話してたから…」

嫉妬?

ちょっとだけ嬉しいかな。皆がいると何も言ってこないけど、二人きりだとこんな感じになるし。


「不安なんだよ」

「昔と今だったら、どっちが不安?」


「どっちも不安だよ。好きなんだもん」

力強く引き寄せられてキスをした。

不安…か。確かに好きだから不安になると聞くしな…

昔も皆を傷つけて悩んだ。

今も皆を傷つけているんだ。なのに、もう大丈夫、なんて思ったり。

馬鹿だな、自分は。