「木田ァァ!お前も俺のメール、シカトしただろ!」

「携帯忘れた」

「嘘つけ!ポケットから出てるだろ!」

「これは……ケィータィ」

ケィータィ…って、木田先生の苦し紛れの嘘。

「ふざけんな!」

ギャーギャーギャー騒いで喧嘩をしている。

皆、子供だね。
平次も加わって三人で喧嘩をしているのを見ながら溝川に近づいた。


「楽しそうだなぁ」


「混ざります?」

「いやいや。見てるだけでいいよ」

溝川の隣に座って三人を見つめた。

「家族って…いいものだね」

「ええ。とても」

「…僕、皆を見て思ったよ。望んでいたものはこれなんだってね」

寂しく微笑んだ溝川。
溝川は【家族】というものに憧れてただけなんだ。

分かるよ、その気持ち。

自分も家族が欲しかった。誰かと一緒に笑って泣いて過ごしてみたかった。


それを実現させてくれたのは、この馬鹿共…なんだよね。