「誰だ、お前ら」


「その人離してよ」

溝川は自分を見つめた。口パクで逃げろと言っていた。

逃げろ?逃げないよ。


「おい、この女…組長が夢中になってた女じゃねぇか」


「組長…?」

聞いたことがあるような…ないような。ああ、あった。

赤城とかって名前のヤクザの組長だ。

「その組長に頼まれたの?」


「ああ。こいつが嘘を言ったとかで」

しょーもない。溝川を睨むと、ごめんと謝ってきた。

「その組長、まだ来ないの?」


「そろそろ来るはず…ああ、来た」

車の音と怒鳴り声が聞こえる。

自分は扉を見つめた。

―ガチャ―

長身で筋肉がちょっとだけありそーで髪の毛は…ちょっと長め。

「赤城さん」

自分は呼んでみた。どんな反応をするだろうか。