「兄さん!」

「んだよ、別にいいじゃねぇか」

良くない、良くない。てか、離してよっ。

腕の中から逃げると平次に助けを求めた。

すると平次はきつく自分を抱きしめた。
…平次?

「兄さん、冗談なら他でして」


「冗談だと思うか?」

「…南は渡さない」


「分かんねぇだろ?女ってのは顔さえ良けりゃ付き合うんだからよ」

…この人、もしかして。

リビングの真ん中に立って見渡した。


「顔と収入。女ってのはいいよなぁ。飽きたら捨てるんだもんな。付き合ってくれって言えば彼氏捨てて俺んとこに来るんだからよ」

無理して笑ってる。無理して強がってる。