「南、ビキニ!」

「嫌だ。Tシャツとジーパン」

絶対に着替えない。ビキニとかも嫌だ。
「僕も反対っ」

「聞いてねぇよ、お前の意見なんか!」

絶対、嫌。
お父さんは水着の雑誌を見ていた。

…よし、あの手を使おう。

「お父さん、水着嫌だ」

隣に座り、手を握って見上げてみた。

つい最近の作戦。

「うんっ♪絶対、絶対…水着はダメ」

よっしゃ。お父さんなら言うと思った。良かったよ、単純で。

「南、きたね~ぞ!」
「世の中は上手い話ばかりじゃないんだ」

頭を使え。お父さんの性格なら自分がおねだりすれば何でも聞いてくれるということだ。

馬鹿め。誰が水着なんか着るか。

「南、ワンピースは?」

平次が聞いてきた。もちろん。

「嫌だ」

Tシャツとジーパン。これでいいの。