「ほら、旅行の話と…ライブの話しなきゃ」

「そうだなっ」

要は、はしゃぎながら本をぺらぺらとめくっていた。

平次もお父さんも負けじとめくっていた。

…さて、溝川に電話でもするか。

寝室に向かい、電話をかけた。

「もしもし」

《あっ、宮沢さん!嬉しいなぁ》

この男、本当に嫌いだ。
何か言うことないのか。


「電話がかかってきたんですよね、あなたが言ってたヤクザの人から」

《本当?やっぱりねぇ》

「あなたが自分の電話番号を教えたんでしょう?」

《そうだよ》

正直に答えた溝川。自分が予想していた言葉ではなかった。

違う、なんて答えると思ってた。

まだ何か考えているのか。

《彼、諦めるような男じゃないよ?》

「…あんたは何を考えている?」

聞きたい。
何をしたいんだ。