「その若い男の話、聞かせてもらえませんか?」

《はぁ》

溝川だということは分かった。

だけど、そんなことをするほど時間を使わないはず。

遠回りが嫌いな人間だ。近道を選ぶはずなのに…何故だ。

「その男からまた電話がかかってきたら連絡下さい」

《分かりました。あの…それよりお返事…》


「自分、結婚してますんで。ついでに二人の子持ちですっ」


ふぅ。すっきりした。面倒なことを仕掛けてきた溝川、あんたを信じた自分は馬鹿だったのか?

「南、どうしたの?」

「告白された」

平次は驚いて俯いた。さっきの話聞いてなかったの?


「好きなのは平次だけだなんだけど?」

だから、心配しないでよ。
平次の頭を強く撫でた。