「溝川の話は多分、本当だろう。だけど、ヤクザがどうした?」

「うっ、姐さんになっちまったら…」

「なる気ないし、なったら仕事続けられないじゃん」

ヤクザのせいで自分の好きな音楽を奪われるなんて嫌だね。
来たら来たで追い返す。

「怖くねぇの?」

「別に」

「…あんま無茶すんなよ」

無茶なんてしないよ。ただ…やりたいことがあるから、やらせてもらうよ。

要の髪の毛で遊んでいつもの要にしようとした。
いつもへらへらしている要が見たい。


何故だか…嫌な気がするんだ。
何故、溝川はいきなりそんなことを言いはじめたのか。

ただの忠告ってわけじゃないだろう。

多分、あいつが何かをしたはず。

じゃなきゃ、ヤクザの話なんて持ち掛けないはずだ。