「…で?」

「空君が、ここに来たこと知ってる?」

空が?何故来たんだろうか。

「いいえ?」

「そっか。じゃあ、高城君だけか」

要だけ…?ということは、要は空から何かを聞いたはず。
その何かを聞いた要は、様子がおかしくなったのか。

これでつじつまが合う。

「何を空に言ったんです?」

「ちょっとね。気をつけてって言っただけ♪」

こいつに聞いても、はぐらかすだけ。空に聞くしかないか。
「教えてあげてもいいよ。ただし、僕の条件があるよ」

溝川はベッドに座って言った。

「キスさせてくれたら…」

「あなたに聞くより、空に聞いたほうが早い」

くだらない冗談に付き合ってるほど、暇じゃないんだ。

溝川を睨んで出て行こうとした。
すると腕を掴まれてベッドに押し倒された。

「教えてあげる。僕以外にも君を好きって人がいるんだよ?」

…そんなこと?くだらない。

「言っとくけど、ヤクザが君を狙ってるって話…知らないよね」

「まぁね。でも、あんたよりマシだ」

溝川は笑い出した。そして自分の腕を離した。
あんたなんかより、ヤクザのほうがよっぽどマシっ。