仁志は驚いて夏実を見ていた。 夏実は仁志に抱きついた。 「いいでしょ?」 しばらく仁志はそのまま動こうとしなかった。 そしてようやく夏実の身体に腕を回して、強く抱き締め、倒れ込んだ。 ずっと、待っていた。 夏実は身体が熱くなった。 仁志は今まで、キスもしてこなかったのだ。 なぜ婚約者同士が一緒に住んでいるのに手も出してこないのだろうといつも思っていた。