「だからあの頃、荒れていたのね」

「ま、それだけじゃないけど」

「そうなの?」

「はい、以上!終わり!何か思い出したか?」

夏実は首をふった。

「そうだろうな。お前の家族と何の接点もなかったんだ。家柄も全く違うし」

「何よそれ、どう違うの」

喋りすぎたと思ったのか、仁志は口を閉じた。

「さ、もう寝よう。明日も早いんだ」

夏実は動こうとしなかった。

「どうした。まだ飲み足りないのか?」

「ねえ、一緒にベッドで寝ましょう」