「いいお父さんね」
「全然。親父はパチンコと酒浸りの日々を送っていた。お陰で家は本当に貧しかったよ」
タバコの灰が落ちそうになったので、慌てて灰皿に落とした。
「そのせいで高校には辛うじて行けたが、大学進学なんて話は夢だった。就職しなければいけないことは分かっていたが、あんなバカ親父のせいで自分の人生が決まってしまうのが嫌でしょうがなかった。」
多分、仁志は今までそんな素振りは一度も見せていなかった。
このことも多分初めて夏実に話したのだと思った。
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