仁志は嫌がった。

「お願い、だって結婚したら仁志の家族とも付き合うことになるし、それに、私の家族のことも何か思い出せるかもしれないし!」

「別に聞いても面白くも
なんともないぜ」

「絶対そんなことないわ」

仁志は文句を言いながらも渋々話し始めた。

「俺の家族は5人兄弟で俺が長男だった。
だから俺は妹や弟の世話をさせられていて、友達と遊ぶこともあまりなかった。
でも、親父がその俺を見て、野球ボールとグローブを買ってきたんだ」