死神の声が、頭の中で響く。

 《今から、3つ数える。俺が3つ数えるまで、絶対に目を開けるな。おまえを今から10分前に戻してやる。おまえは人込みの中で俺を見つける。あとは、おまえがどうしたいか選ぶんだ》




 えっ?





 《言っただろう。なにも考えるなって。おまえは、心の中を空っぽにして、ただ目を閉じていればいいんだ》




 不安が、心の中をよぎる。







 「初樹、今度は精一杯生きろ」




 …カイ?


 彼の声が私の耳に入る。





 ありがとう、カイ。


 カイに会えてよかったよ。