死神は言った。

 「おまえ、あのときの子供だな。命拾いした…」




 …まったくと言っていいほど、話が見えなかった。




 私は、きょとんとすると言った。

 「…あのとき? …命拾い? ねぇ、どういうこと?」




 死神は、クククッと笑う。

 「道理で、俺の姿が見えるわけだ」





 死神の笑い声が、頭の中まで響いた。



 私は、ゾクッとした。




 この黒猫、ほんとに《死神》なんだって、改めて思った。