死神は、息をととのえると言った。

 「おまえは、運が悪かっただけだ。確かに、俺は死神だ。死に誘うこともする。ただ、俺の姿が見えるのは…、俺が目星をつけた奴だけだ」




 私はきょとんとすると、首をかしげた。




 死神は、私をじっと見ると言った。

 「つまり、俺が言いたいのは、普通の人間には俺の姿は見えない」





 えっ!?



 私は目をぱちくりさせると、隣でじっと聞いていた彼に、答えを求めた。

 「どういうこと?」




 「その猫が言ったとおりだろ? 目星をつけた奴だけなんだと、その猫が見えるのは」





 目星をつけた奴だけ?