死神は、私をじっと見ると、

 「覚悟はできたようだし、俺は冥府へと戻る」

と言うと、くるりと背を向けた。





 えっ?




 覚悟…


 やっぱり、人の心が読めるんだ。





 死神はしっぽをふりふりさせながら、軽やかな足どりで歩き出した。




 私、これから本当に自縛霊として生きていくんだ…




 私は辺りを見回した。




 いつもと変わらない街並み。


 にぎやかに行き交う人たち。




 もう友達と、くだらないおしゃべりも出来ないんだ…