彼は、私の顔をのぞきこむと言った。
「お~い、さっきから、なにブツブツ言ってんだ?」
私は、ぷいと横を向くと言った。
「そんなの、あなたには関係ないでしょっ」
「感じわりーな。俺はあんたの友達であって、先輩でもあんだかんな」
「なっ! 悪いけど私、あなたと友達になった覚えないんですけど…」
すると、彼は私の肩をたたくと言った。
「照れるな、照れるな。はじめはみんな、同じこと言うんだって」
「えっ、別にだれも照れてなんか…」
と、私が言いかけたときだった。
「ゴホンッ!」
死神が咳払いをすると、私たちをじろりと見た。
…そうでした。
死神のことをすっかり忘れていました。