…私、死んだんだ。




 実感がないな。


 私はぼうっと、その場に立ち尽くしていた。




 死神と名乗る、その猫と彼が、私をじっと見ていた。





 死神が口を開いた。

 「おまえには選択権がある。現世にさまよい続けるか、俺と共に冥府(めいふ)へと行くか」




 私は、きょとんとすると言った。

 「めいふ?」




 「つまり、死者の世界。いわゆる、あの世だ」





 あの世…



 私の頭にパパの顔がよぎる。





 あの世に行ったら、パパに会える?