救急車のサイレンが鳴り響く。


 私は見物人たちにまぎれて、自分が搬送されていくのを見送った。




 なんとも言葉には言い表せないくらい、複雑な気分だった。





 私がすぐ目の前にいるのに、そうとは知らない見物人たちは口々に言った。


 「もう息はなかったそうだよ」


 「かわいそうに。トラックの運転手は30歳の若い男の人だって」


 「女子高生もかわいそうだが、トラックの運転手も気の毒だな」


 「なんでも、深夜から走りづめだったそうよ」






 自分のことを言われているのに、まるで他人のことのように聞いていた、私。