今度は、西園寺さんを見て言った。

 「西園寺さん、私…、すぐには《お父さん》って呼べないかもしれないけど、ママが選んだ人なら、うれしいです」




 ママは、ハンカチで涙をふきながら言った。

 「初樹、ありがとう…」





 西園寺さんが、私の前にスッと手を差し出した。


 私はにっこり笑うと、今度はその手に伸ばすことができた。





 西園寺さんと握手を交わした後、

 「食事はふたりで楽しんで。私、ちょっと用ができちゃったから」

と、私はそう言うと、ママにウインクした。





 ママは恥ずかしそうに笑っていた。




 「じゃ、お言葉にあまえて。香さん、食事にしましょうか?」



 「…はい」






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