ママは、目に涙を浮かべながら言った。

 「初樹、よかった。戻ってきてくれたのね。初樹が戻ってきてから、食事にしようって西園寺さんが言うものだから」




 えっ?



 私は西園寺さんを見た。




 西園寺さんはにっこり笑うと、こう言った。

 「さあ、初樹ちゃん。椅子に腰かけて、食事にしよう」





 なんで、私にそんなに優しい言葉をかけてくれるんだろう。


 だって私、西園寺さんに失礼なことしちゃったんだよ…





 私は涙をグッとこらえると、西園寺さんに頭を下げた。

 「西園寺さん、さっきはごめんなさいっ!!」




 そのとき、まわりがざわめいた。




 「は、初樹ちゃん、頭をあげてよ…。おじさん、どうしたらいいのかわかんないよ…」