名無しさんが、横断歩道の前に立つと言った。
「おまえの父親は、俺が責任をもって、今回も冥府(めいふ)へと導いてやろう」
私は、目をぱちくりさせると言った。
「こ、今回もって、前回も名無しさんが?」
「ああ、俺があの世へと連れていってやった」
「ありがとう! なんだかんだ言って、名無しさんていいひとね。…あ、猫? 死神? ま、どっちでもいいか」
と、私はそう言うと、名無しさんをぎゅっとだきしめた。
「…ぐわ…、バカ…、はな…せ…」
と、もがく、名無しさん。
私はクスッと笑うと、名無しさんのおでこに軽くキスをした。
名無しさんは、かなりプリプリと怒ってたけど。
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