「苦しみなさいよ! 私はあなたに相当、苦しめられたんだからっ!!」
と、私はそう言うと、さらに力を加えた。
「…ぐわ…、バカ…、はな…せ…」
それを見ていたカイは、そわそわしながら言った。
「お、おい、やめろよ。姿見えないけど、そいつ死神なんだろ? 《神》って付くくらいなんだからさ、そんなことしたらバチが当たるって」
そのとき、私の耳にひそひそ声が入ってきた。
まわりを見ると、通行人が私の顔をじろじろと見て、ひそひそとなにかを言っていた。
しまった…!
名無しさんの姿は、私以外に見えないってこと、すっかり忘れていたっ!!
こんなんじゃ私、頭のおかしい人だと思われちゃうじゃないっ!!