目の前には、大型トラックが停まっていて、あたり一面は血の海と化していた。


 チョコが、うつ伏せで倒れている人のところで吠え続けている。





 前にも見た光景だった。





 私はすぐにあれが、パパだということに気がついた。





 「初樹っ!」

と、カイの顔が飛び込んできた。




 カイは腕の中で眠っている、もうひとりの私を道端に置くと、私のもとへと駆けてきた。




 私はまた、パパを殺してしまったの?




 体が震えだした。




 カイがなにも言わずに、私をぎゅっと抱きしめてくれた、そのときだった。


 かすかに、私を呼ぶ声が聞こえたのは。