目の前には、大型トラックが停まっていて、あたり一面は血の海と化していた。
チョコが、うつ伏せで倒れている人のところで吠え続けている。
前にも見た光景だった。
私はすぐにあれが、パパだということに気がついた。
「初樹っ!」
と、カイの顔が飛び込んできた。
カイは腕の中で眠っている、もうひとりの私を道端に置くと、私のもとへと駆けてきた。
私はまた、パパを殺してしまったの?
体が震えだした。
カイがなにも言わずに、私をぎゅっと抱きしめてくれた、そのときだった。
かすかに、私を呼ぶ声が聞こえたのは。
メニュー
メニュー
この作品の感想を3つまで選択できます。
読み込み中…