「なあ……」
彼に声をかけられ途端、指で十字をつくってみせる。
「いやぁ──っ! 近寄らないでっ!! むむむ無理無理無理っ!!!」
「なんだよ、急に。地縛霊だって知った途端、みんなそーゆー態度とんのな。そんなに引かなくてもいいだろ?」
「無理なもんは無理なのっ! そんなさわやかな顔をして、地縛霊だなんて反則でしょっ!」
「はあ!?」
「そういえばココ、いわくつきの場所だったよね。夜中にお化けが出るっていう有名な話────。まさか、あなただったりするわけ?」
「なにが?」
「夜中にここの大通りを走ると、1台のバイクがやってきて、目の前でスッと消えたりするとかなんとかっていう……」
「あっ!! それ、俺だわ。毎日暇だし」
「えっ……」
やっぱり、おまえか……。