ゴォ─────…!!





 間一髪だった。


 私たちの目の前を、その車は何事もなかったかのように通り過ぎて行った。





 私はほっと息をついた。


 11歳の私はカイの腕の中で、静かな寝息をたてて眠っていた。




 「カイ、ありがとう」

と、私は心からお礼を言うと、カイは目を細めて笑った。




 パパは目に涙を浮かべながら、11歳の私の頭をなでると、こう言った。

 「…なんてお礼を言ったらいいのか。娘を、娘を助けてくれて、本当にありがとう!」







 よかった。


 これで、パパは死ななくてすむんだ。