大変、なんとかしなくちゃ!




 すると、私の目の前をカイがスッと通り過ぎた。


 まるで、風を切るような速さで。





 《…クククッ!》

と、私の頭の中で、名無しさんの不気味な笑い声が響くと、体を貫(つらぬ)くような冷たい視線を感じた。 


 私は息をのむと、道端にいる名無しさんをキッとにらみつけた。




 子供とは思えないほどの、異様な速さで土手を駆け上がる、11歳の私。




 「初樹ちゃんっ!!」

と、すぐ後ろを走る、カイ。




 私は息を凝らして、ふたりの無事を見守る。




 そんななか、パパが思いもよらぬ言葉を私にかけた。

 「…君たちは、まさか、これからなにが起ころうとしているのか、知っているのかい?」




 えっ!?