すると、そのとき、チョコがパパの腕からスルリと降りると、身動きのとれない私たちに代わって、11歳の私を追いかけてくれた。
チョコ!
お願い、11歳の私を止めて!!
名無しさんが、じろりとチョコを見た瞬間だった。
チョコの動きが急に止まったかと思うと、バタッとその場に倒れてしまった。
私は息をのんだ。
ま、まさか、死…
「チョ、チョコッ!!」
と、私は叫んだが、応答はなかった。
そのときだった。
「君たち、これもさっきと同じ幻なら、惑わされてはいけないよ」
と、パパはそう言うと、チョコのそばへ駆けていった。