意外や意外。

 突然語り出した、彼の身の上話。



 「────俺も、自分が死んだなんて信じられなかったさ。3年前の今日……、俺はここで死んだんだ」

 「ここ……で?」

 「そう。“あの世”っていわれる世界に───、なんか俺には思い残したことがあるみたいでさ、それを思い出すまでいけないんだとか。それがなんだったのか、いまだにわからない。だから、俺はここから離れられないんだ…………」

 「え、離れられない? ちょっとまって。あの、それってつまり、アレよね?」

 「アレ?」

 「そう、アレ。自分の死んだところから離れられないでいるっていう霊!」

 「おっ、ソレソレ!」

 「……あなた────……、地縛霊(ジバクレイ)だったの!?」

 「そっ、地縛霊!」

 ニコッと、うれしそうに答える彼。

 私は瞬時に50メートルほど離れる。