「…ひぃっ!!」

と、私はやっとの思いで悲鳴をあげると、ぱっと手で口を押さえた。




 「うわっ…!!」


 青ざめたカイが、その腕を慌てて離した瞬間、その腕は跡形もなくスッと消え失せた。





 なんだったの、今の…


 幻?





 《クククッ! ちょいと、やり過ぎたようだな…》




 名無しさんっ!?


 これも、名無しさんの力…






 「い、今のはなんだったんだい? それに、初樹の様子もおかしいようだが…」

と、パパが声を震わせながら言った。




 「い、今のは…」

と、私が言いかけたときだった。




 私の視界に、11歳の私が道路に向かって走っていく姿が飛び込んできた。




 「はっちゃん、そっちに行っちゃダメ───ッ!!!」