「…猫」


 突然、11歳の私がぽつりと言った。





 えっ?


 猫?





 そうだ、私…


 あのとき、黒猫を見たんだ!




 私はぱっと道端を見ると、記憶どおり黒猫がスッと現れた。




 《…クククッ!》

と、名無しさんの笑い声が、私の頭の中で響く。




 私はゾクッと身震いをした。




 恐れている場合じゃない。


 なんとかして、止めなきゃっ!!





 《クククッ! 止めるだと? 止められるものなら止めてみな。クククッ…》




 私は名無しさんをキッとにらむと、こぶしを握りしめた。




 だって私、この後…!!