「……花?」

 きょとんとして彼を見る。


 横断歩道のわきに、寂しく供えられた花束。

 さっきは猫を追いかけるのに夢中で、あんなところにあったなんて気づかなかった。



 その花がいったい、なんだっていうの……。




 「あれ、俺の……」

 ポツリとそう言って、彼は寂しそうにそれを見つめる。



 「……あ、あなたのっ!?」





***