「おいおい、質問が多すぎて、全部答えられるかどうか、わかんないぜ」

と、名無しさんはしっぽをフリフリさせると、スッと再び姿を消してしまった。




 ちょ、ちょっと、全部答えなさいよっ!!




 私はむっとすると、辺りをぐるりと見回した。





 《クククッ! 俺の口から聞かなくても、もうおまえは、すでに気づいてるんだろ? これは、俺のチャンスでもあったんだ、魔力を半分失った、俺のね…》




 やっぱり、そういうことだったんだ。




 名無しさんの魔力が戻ったのは、まだあの忌(い)まわしい事故が起きていないからで、あの事故で私が死ねば、名無しさんは魔力を失わずにすむんだ!





 私の記憶も…


 代償として払った記憶が、なぜ戻ったのか、それはまだあの事故が起きてないから。