ドキッと、一瞬心臓が止まりそうだった。
「手が震えてる…」
と、カイはそう言うと、私を後ろからぎゅっと抱きしめた。
こんなの反則だよ!
ついさっきまで笑っていたのに。
私の胸は、ドキドキと破裂寸前。
言葉がなにも出てこなかった。
異常なほど高鳴っている鼓動が、カイに伝わってはないかと、ただそれだけを一心に考えていた。
「俺も初樹といっしょ。ちょっとビビってたりして。初樹とこうして…、その…」
と、カイはそう言いかけると口をつぐんだ。
「なに?」
私の髪にカイの息がかかる。
「初樹に触れるのが、これが最後になったらって…」