万事うまくいく、万事うまくいく…、私は自分にそう言い聞かせる。





 あかね色に染まる空の下で、11歳の私はフリスビーを投げ、チョコが草むらの中を駆けていく。


 そして、すぐそばで、パパが目を細めて笑っていた。





 見覚えのある光景に、私は息をのんだ。


 運命の瞬間が、すぐそこまで迫ってきている。





 私の頭の中では、パパが車にはねられる瞬間と、地面に打ち付けられ、血まみれになったパパが、私の名前を呼んでいるという場面を何度も何度も繰り返し連想させた。





 私の体は、恐怖のあまり震えていた。


 その異変に気づいたのは、隣にいたカイではなくパパだった。