万事うまくいく、万事うまくいく…、と私は呪文を唱えるかのように、何度も何度も心の中でつぶやいた。
“万事うまくいく”、それはさっき、カイが私を優しく包み込んでくれたときの出来事だった。
カイが、私の耳元でこう言ったのだ。
『その事故が過去と未来をつなぐ鍵となるなら、初樹の記憶どおり運命の瞬間を見届けよう。大丈夫、初樹の親父さんもあのコも、…もちろん初樹、おまえ自身も俺が救ってやるよ』
『救うって、どうやって?』
と、私がそう言うと、カイはしばらくの間、黙っていた。
『おまえのためなら、この身を捧げてもいいと思ってる』
と、カイは頭をさすりながら、ボソッと答えた。