《父親が代わりに死んでくれたおかげで、おまえの黒星は消えたわけだが、命拾いしたおまえには、その代償(だいしょう)として記憶をもらった》
…記憶を?
私は息をのんだ。
あの事故の後、病院のベッドで目を覚ましたときのことを思い出した。
あんなに必死に思い出そうとしても、思い出せなかったんのは、それが原因だったんだ。
《そういうことさ。今朝見た夢も、土手でのことも、すべておまえが失った記憶。あの日、おまえから事故前後の記憶と、事故直後、一番最初に見た者の記憶をもらったのさ》
やっぱりあの夢は、私の失った記憶に間違いなかったんだ。
そして、バイクのお兄ちゃんも…