私は呼吸をととのえると、勇気を振り絞って聞いてみた。

 「ねえ、一体なにを企んでいるの?」




 名無しさんは、私をちらりと見るだけで、私の問いに答える気などさらさらないようだ。


 すました顔にむっとした私は、以前のように首をしめて吐かせようと、ぱっと手を伸ばしたときだった。




 スッと、名無しさんが目の前から消えたのだ。





 「えっ!?」

 私は息をのんだ。




 …消えた?





 そのとき、後ろから冷たい視線とともに、嘲(あざ)笑う声が聞こえてきた。

 「クククッ! 後ろだよ」