「いいか。どこでもいい、目を凝らして、一点だけを見つめるんだ。じきにアンタにも見えてくるはずだぜ」


 「えっ、なにが……?」



 これ以上、なにが起こるっていうの!?

 彼に言われた通り、一点だけを見つめると、今まで霧がかかっていたかのように、スッと現れた半透明な人たち。



 なんなの、あの人たちっ!?

 見回せば、どこもかしこも半透明な人たちがうじゃうじゃと動き回っている。

 なかには、いたずら好きなのもいて、止まっている人たちに向かって、あっかんべえや頭をたたいたり、体を通り抜けるなど、ここは半透明な人たちのやりたい放題の世界だった。