笑顔で手を振る11歳の自分に、私もニコッと笑うと、土手の上から手を振った。




 次の瞬間、私は目を疑った。


 11歳の私の額に、黒いものが目に入った。





 なに、あれ…


 私は目を凝らした。





 あれは…


 まさか、あれが黒星っ!?




 死神が、狙った獲物に付けるという印。





 「クククッ!」


 突然、名無しさんの不気味な笑い声が聞こえ、私ははっと見る。




 名無しさんは言った。

 「そうか、あの印が見えたのか。そうだ、あれが黒星だ」




 全身から、じわりと汗がにじみ出た。





 私はここで、今まで心に引っ掛かっていたことを、名無しさんに恐る恐る聞いてみた。

 「…まさか、私を殺す気?」