「遅かったな」

 それは、聞き覚えのある声だった。




 カイのバイクから降りたとき、私の目の前にぬっと現れたのは名無しさんだった。




 私はびくっと身震いをした。




 私に、名無しさんの姿が見えるということは…






 「クククッ!そう、たった今、5年前のおまえに印を付けてきたところだ」

と、名無しさんが言った。