カイは続けた。


 「あのコの名前を聞いたとき、ふと思ったんだ。もしかして、このコはおまえなんじゃないかって。前に、あのおじさんがケータイで《はい、美濃です》って言っていたのを思い出して。でも、美濃なんて他にもいそうだし、おまえが電話をかけた美濃という家が、おまえの家かどうかなんて知らないし、あのコと同じ名前はただの偶然で、俺の思い違いだって、そう思ったんだ」

と、カイはそう言うと、大きく息をついた。



 そして、枕の下に手を入れると、ノートを取り出してこう言った。

 「…このノートを見るまでは」





 私は目の前に出されたノートを見て、あっと声を出した。




 そのノートは私のものであって、今朝カイが出掛けたあと、そのノートに今までの出来事を洗いざらい書き出したものだった。