カイがなぜ、そんなことを聞いてきたのか、私にはわからなかった。
私たちの間に、凛(りん)と張り詰めた空気が流れる。
「み、美濃(みの)…」
と、私がそう答えた途端、カイの顔が曇ったのがすぐにわかった。
緊張感に包まれながらも、私は次に出るカイの言葉を待った。
そして、カイはゆっくりと体を起こすとこう言った。
「…そうか。おまえ、あのコなんだ」
えっ?
カイの口から、思いもよらぬ言葉を聞いた私は、ぱっと目を見開いた。
驚きのあまり、私は声も出なかった。
なぜ、11歳のあのコが私であることに気づいたのか…
私の頭の中は、それでいっぱいだった。